目次
【解説】東京都赤十字で血液製剤1.3万本が使用不能に|冷凍庫電源喪失トラブルの全容と影響、信頼回復への課題とは

2025年5月、**東京都赤十字血液センター(江東区)**にて、血液製剤「新鮮凍結血漿(FFP)」約1万3700本が使用不能になる重大トラブルが発生していたことが判明しました。このトラブルは冷凍庫の電源喪失が原因であり、厚生労働省への報告は発生から1か月後の6月10日と大幅に遅れていました。
今回の記事では、事故の経緯・原因・医療への影響・社会的な課題を、教養ある読者にもわかりやすく徹底解説します。
◼ 事件の概要:なぜ血液製剤1.3万本が使えなくなったのか?
▶ トラブル発生日時と場所
- 日時:2025年5月11日 午後10時半ごろ
- 場所:東京都赤十字血液センター・辰巳供給出張所(江東区)
血液製剤の保管に使用されていた冷凍庫の電源が突然落ち、庫内の温度が上昇。FFPはマイナス20度以下での保存が必要ですが、2時間半以上にわたって温度が基準を超過したことで、合計約1万3700本の製剤が輸血用として使用できなくなりました。
◼ 原因:電圧の誤設計が引き起こした構造的なミス
冷凍庫トラブルの根本原因は、昨年2024年5月の設備更新工事にさかのぼります。
- 電源制御盤に、電圧規格が異なる端子台が誤って設置
- 規定を超える電圧が回路に加わり、端子台の基盤が焼損
- その結果、冷凍庫の電源が遮断され、警報が作動
技術的なチェック体制や品質管理に重大な設計ミスが存在していた可能性があります。
◼ 使用不能となった血液製剤の詳細
| 容量(1本あたり) | 使用不能となった本数 |
|---|---|
| 120ミリリットル | 1,691本 |
| 240ミリリットル | 11,796本 |
| 480ミリリットル | 261本 |
総計で約2万6300単位に相当し、**全国年間供給量の約1.2%**にあたります。
◼ 医療機関への影響は?
日赤は、「全国在庫で代替供給を行ったため、納品には影響がなかった」と説明しています。
また、使用不能となったFFPは、別用途の血液製剤の原料として再利用される予定とのこと。
しかし、影響がなかったとはいえ、善意で献血した国民の信頼を損なう結果となったことは否めません。
◼ 報告の遅れ:厚労省への報告は1か月後
問題発生から1か月間、厚生労働省への報告が行われていなかった点も、重大な課題として浮上しています。
- 報告日:2025年6月10日
- 発覚経路:読売新聞の取材をきっかけに明らかに
厚労省幹部は「今後は速やかな情報共有を徹底してほしい」とコメント。医療の信頼性を担保する上で、事故発生時の即時報告体制の再構築が急務です。
◼ 専門家の見解:市民の善意に基づく制度を守る責任
湘南鎌倉総合病院・輸血再生医療センター長の田野﨑隆二氏は、次のように指摘しています:
「血液事業は市民の善意で成り立っており、信頼が何よりも重要。再発防止策の徹底は当然であり、同様の事例が起きた場合の報告体制を整備することが不可欠」
◼ 今後の対応策と再発防止
日本赤十字社は全国の血液センターに対し、管理体制の強化を指示し、以下の対策を講じています:
- 今後のFFP製造を全国11施設で増産体制
- 使用不能製剤の再利用による資源の最大活用
- 設備管理におけるチェック体制の見直し
- トラブル発生時の速やかな報告ルールの構築
◼ まとめ|献血制度への信頼を回復できるか?
今回の赤十字のトラブルは、「人的被害はなくとも信頼が傷ついたインシデント」です。医療供給が滞らなかったことは幸いですが、国民の善意を裏切ることがないよう、透明性と迅速な情報開示が求められています。
献血は、見返りのない善意の行動。 その一滴が、命を救う医療資源となる以上、管理する側の責任は極めて重いものです。




