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VTuber文化に潜む「暴走した承認欲求」の闇:にじさんじ・甲斐田晴への悪質な誹謗中傷事案に見る教訓と運営会社の毅然とした対応
人気VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社が、所属ライバーである甲斐田晴さんに対する極めて悪質な誹謗中傷行為・荒らし行為を行った人物を特定し、その「意識調査」の結果を公開しました。この調査結果からは、VTuberという「配信者とリスナーの距離が比較的近い」文化特有のダークサイド、すなわち「暴走した承認欲求」が引き起こした深刻な事態が浮き彫りになっています。
事案の概要と加害者の行為
加害者は20代後半の女性で、約2年間にわたり甲斐田晴さんを中心としたライバーに対して以下のような悪質な行為を繰り返していました。
- 執拗なコメント連投行為(荒らし行為):YouTube配信におけるコメント欄での妨害。
- 悪質なタグ荒らし・画像拡散:甲斐田晴さんのイラストを無断使用し、なりすまし配信や、グロテスク・ホラー画像・動画を添付してハッシュタグを悪用し拡散。
- 危害予告:所属ユニット「VALZ」のリアルイベント会場に危害を加える内容の書き込み。
これらの行為は、甲斐田晴さんのみならず、他のライバーやリスナーにも多大な精神的苦痛と損害を与えました。
「暴走した承認欲求」が引き起こした悲劇
なぜ、彼女はこのような行為に及んだのでしょうか?意識調査の回答からは、その動機と心理が詳細に語られています。
1. 行為の動機:距離感の誤認と承認欲求
- 「好きなライバーとの距離感を一方的に縮めようとした」:VTuberとリスナーの近い距離感が、加害者にとって「自分とライバーは特別な関係になれる」という誤った認識を生み、その結果、独占欲や執着へと歪んでいきました。
- 「強い承認欲求と日頃のストレス」:精神的な不安定さと、満たされない承認欲求が背景にありました。
2. 行為中の感情:歪んだ満足感
荒らし行為を行っている間は、「面白い」「ライバーが自分に反応している」という歪んだ承認欲求の充足と「優越感」が混ざった感情を抱いていたと告白しています。行為の対象への想像力が完全に欠如しており、投稿が拡散されることだけを考えていました。
3. 法的責任の認識と後悔
行為に及んだ当時も、誹謗中傷や危害予告が刑事・民事双方で責任を追及される可能性があることは「漠然とではありますが認識していた」としています。しかし、精神的な不安定さからその認識が薄れ、行為を止められなかったと深く反省。現在は、自身の行為がいかに軽率で無責任であったかを痛感し、被害者への謝罪と後悔の念に堪えないと述べています。
ANYCOLOR社の毅然とした対応と教訓
ANYCOLOR社は、この悪質な行為に対し、民事・刑事両面で毅然とした法的措置を講じました。
- 加害者を特定し、損害賠償請求訴訟を提起。
- 業務妨害罪で警察に被害届を提出し、受理。その後、加害者は業務妨害罪で書類送検されました。
この一連の対応は、VTuber業界における誹謗中傷や荒らし行為に対して**「加害者は必ず特定され、責任を追及される」**という強いメッセージを発信するものです。
私たちが学ぶべきこと
この事案は、単なる迷惑行為では片づけられない、現代のインターネット文化、特にVTuberという密なコミュニティにおける深刻な問題を提起しています。
- デジタル・モラルの重要性:匿名性があるからこそ、その向こう側にいる「生身の人間」への想像力を持つ必要があります。
- 承認欲求との健全な付き合い方:承認欲求は誰にでもあるものですが、それが「暴走」し、他者を攻撃する形で満たそうとすることは、自分自身をも破滅に導きます。
- 運営会社とファンとの連携:運営会社が法的手続きを迅速に進める体制を整えるとともに、ファンも誹謗中傷を本人に伝えず、適切な通報窓口に報告することが、被害の拡大を防ぐ鍵となります。
加害者が「当時の自分に会えるなら何を伝えるか?」という質問に対し、**「誰かを深く傷つけないか?」「投稿がどれほど広範囲に、どれほど長く影響を与え続けるかを想像できるか?」**と問い直したいと回答した言葉は、私たち全員が胸に刻むべき教訓です。安易な気持ちで書き込んだ一言が、配信者の活動、ファンコミュニティ、そして自分自身の人生を、取り返しのつかない形で壊してしまう可能性があるのです。
ANYCOLOR社は今後も、ライバーが安心して活動できる環境、ファンがコンテンツを心から楽しめる環境を守るため、誹謗中傷行為への対応を継続していくとしています。

