商船三井のLNG船「SOHAR LNG」がホルムズ海峡を突破 イラン事実上の封鎖後、日本関係船舶として初の通過

商船三井のLNG船「SOHAR LNG」がホルムズ海峡を突破 イラン事実上の封鎖後、日本関係船舶として初の通過

2026年4月3日、日本時間。イランによる事実上の封鎖が続くホルムズ海峡を、パナマ船籍のLNG(液化天然ガス)運搬船「SOHAR LNG」(ソハール・エル・エヌ・ジー)が通過したことが明らかになった。日本船社・商船三井(MOL)が関わる船舶として、ペルシャ湾内から海峡を抜けた初のケースだ。2335

商船三井の取材に対し、同社は「船員と船舶の無事は確認している」と明かし、「引き続き船員と貨物、船舶の安全の確保を最優先として対応する」とコメントした。一方で、通過した正確な日時や、イラン側との交渉の有無については一切公表していない。35

船舶の概要と航行経緯

「SOHAR LNG」は2001年に三菱重工業で建造された約13万7000立方メートル級のLNGキャリア(IMO番号9210816)。全長約297.5m、幅約45.7m、パナマ船籍で、商船三井とオマーン政府系Asyad Shipping(オマーン・シップ・マネジメント)が共同保有・運用している。1048

船舶追跡データによると、同船は直前までペルシャ湾内で待機(ホルムズ海峡から西に約100km地点)。4月2日頃に海峡に入り、アラビア海側へ抜けた。特徴的なのは、通常の航路(イラン領海寄りの北側)ではなく、オマーン海岸線に沿う「南側ルート」を選択した点だ。AIS信号を途中でオフにした後、マスカット近海で再び確認され、現在はオマーン・カールハート(Qalhat)LNG輸出基地に向かっている模様。貨物は積んでおらず(バラスト状態)とみられる。460

この通過は、2月28日に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃後の「封鎖」下で、LNG船として初めての成功例となった。他にもオマーン籍とみられる油槽船2隻が同ルートで追随したとの情報もある。47

背景:イラン情勢悪化とホルムズ海峡封鎖

ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約20%を担う「世界のエネルギー動脈」。イラン攻撃後、同国は海峡を事実上支配し、通過船舶の選別・許可制を敷いたとされる。一部船舶からは高額の「通航料」を徴収するケースも報じられており、米・イスラエル籍船は完全に排除されている。5342

これにより、ペルシャ湾内に45隻以上の日本関係船舶が足止めされていた(国土交通省・金子恭之大臣が4月3日会見で言及)。商船三井自身も3月にコンテナ船やタンカーが損傷を受ける被害を受けていた。35

国際社会の対応も活発化。4月2日には日英仏独など40カ国超の外相級オンライン会合が開かれ、「即時かつ無条件の再開」を要求。イランへの追加制裁や「海上回廊」設置の検討も進んでいる。3936

意義と今後の展望

今回の通過は「試探的な突破」との見方もあるが、封鎖下での安全航行ルート(オマーン寄り南線)の有効性を示した点で象徴的だ。LNGをはじめとするエネルギー価格の高騰、肥料不足による食料価格上昇、アジア太平洋地域のサプライチェーン混乱など、世界経済への影響は深刻化している。41

商船三井は安全最優先を強調しつつ、他の停泊船舶の脱出に向けた対応を継続するとみられる。日本政府も船舶・船員保護に注力しており、情勢は依然流動的だ。

(本記事は朝日新聞、Bloomberg、Maritime Executiveなど複数の報道を基にまとめました。船舶位置情報は4月3日時点の追跡データによる)

この記事を書いた人: NEWS FOREST 編集部

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