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【破産】鳥取県境港市の「株式会社One’s」が倒産。高級食パンブーム沈静化の余波と多角化失敗のリスク

鳥取県境港市で自動車販売などを手がけていた株式会社One’sが、負債約4億7600万円を抱え破産手続き開始決定を受けました。同社は本業の自動車販売に加え、一時大流行した「高級食パン」の小売業にも進出していましたが、ブームの沈静化とコロナ禍が直撃し、あえなく倒産という結果になりました。
この記事では、なぜ順調だった企業が破産に追い込まれたのか、そして高級食パンブームの終焉と異業種参入の難しさについて、世間のリアルな声も交えながら考察します。
自動車販売から高級食パンへ。破産に至った経緯
株式会社One’sは2017年の創業以来、中古車販売やカスタムカーの取り扱いで業績を伸ばし、年商約6億円を達成するほど順調に成長していました。しかし、その後の展開が命取りとなります。
本業の不振と異業種への進出
新車の仕入れ遅延や中古車価格の高騰により、本業の自動車販売が低迷し始めます。そんな中、同社は2018年に関連会社を設立し、当時大ブームとなっていた高級食パン事業に進出しました。複数店舗の展開やポップアップストアなど、強気な事業拡大を図りました。
ブーム沈静化と吸収合併が致命傷に
しかし、2021年頃から高級食パンブームは急速に冷え込みます。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、関連会社の業績は急激に悪化。2024年5月、One’s本体が大幅な債務超過に陥っていたこの関連会社を吸収合併したことで、本体の財務状況まで一気に悪化し、今回の破産に至りました。
なぜ高級食パンブームは終わったのか?
街中でよく見かけた高級食パン専門店ですが、今ではすっかり影を潜めました。消費者の視点から、その理由を分析してみましょう。
1. 日常使いには適さない「高すぎる価格設定」
「いわゆる高級食パンと言われるものは、たまの贅沢や他人へのお土産など、日常使いよりは時々利用する洋菓子のような物だと思っている。美味しいとは思うものの普段食べるには値段が高い。」
毎日食べる「食パン」というカテゴリーでありながら、価格帯はスイーツ並み。一過性の話題作りとしては良くても、スーパーの食パンに代わる日常食として定着させるには、コストパフォーマンスの面で限界がありました。
2. 単一商材(一本勝負)のリスク
「近隣でも食パン一本でやっていた店はことごとく無くなってしまった。継続するのにはよほどのアイディアか付加価値が無いと難しい。」
「普通のパン屋が高級食パンを出していて売れなくなっても、普通のパンがあるからいいだろうけど、一本に絞るのはかなり投資と短期回収のめどを立てておかないと厳しい。」
食パンしか売っていない専門店は、ブームが去れば顧客を繋ぎ止める他の商品がありません。商品展開の単調さが、飽きられやすさに直結しました。
3. タピオカやマリトッツォと同じ「一過性のトレンド」
タピオカやマリトッツォと同様、SNSを中心に爆発的に流行したものは、消費者の熱が冷めるのも早い傾向にあります。「一度食べれば満足」「話題作りのために並んだだけ」という層が多く、リピーターを獲得し続けることが困難でした。
異業種参入・多角化経営の落とし穴と教訓
今回の株式会社One’s(鳥取県境港市)の破産事例から、経営の多角化における重要な教訓を学ぶことができます。
- 既存事業とのシナジー(相乗効果)を考える: 「自動車販売関連で多角化(レンタカー、タクシー、板金修理など)するべきだった」という指摘がある通り、ノウハウが全く活きない異業種への参入は非常にリスキーです。
- 一過性のブームに全振りしない: 流行りに乗ることは短期的な利益を生みますが、長期的な事業計画には不向きです。撤退のタイミングを見極める必要があります。
- 小さく試して、ダメなら引く: 先行きが不透明な現代では、「大きく賭けるより、小さくテストして素早く撤退する」という判断スピードが企業の存続を左右します。
まとめ:高級食パンブームの残した爪痕
高級食パンブームは、多くの事業者に夢を見せましたが、同時に「ビジネスの基本」の重要性を再認識させる結果となりました。事業の多角化はリスク分散のための有効な手段ですが、一歩間違えれば本業をも道連れにする諸刃の剣です。
今回の破産事例は、一時的なブームに踊らされず、自社の強みを活かした堅実な経営判断がいかに重要であるかを教えてくれています。






