【香港・大埔】高層住宅8棟が燃える大規模火災、死者12人に被害拡大の背景に「竹の足場」か「なぜ中国では竹を使うのか」徹底解説

【香港・大埔】高層住宅8棟が燃える大規模火災、死者12人に。被害拡大の背景に「竹の足場」か

2025年11月26日 22:00更新

2025年11月26日午後、香港北部の大埔(タイポー)にある高層住宅群「宏福苑(Wang Fuk Court)」で大規模な火災が発生しました。 現地メディアの報道によると、火の手は同一区画にある高層住宅8棟に次々と燃え広がり、これまでに消防隊員1名を含む少なくとも12人が死亡、16人が負傷するという痛ましい事態となっています。

午後9時現在も消火活動と救助活動が続いていますが、なぜこれほどまでに火災は拡大してしまったのでしょうか。現地からの報道と、香港特有の建設事情からその原因を探ります。

惨事の引き金?密集する「竹の足場」が導火線に

報道によると、火災発生当時、当該の高層住宅では外壁の補修工事が行われており、建物全体が**「竹製の足場(Bamboo Scaffolding)」**で覆われていました。

香港の住宅は非常に密集して建てられていますが、今回はその隙間を埋めるように組まれた竹の足場が、隣接する棟へ火を渡す「導火線」のような役割を果たしてしまった可能性が指摘されています。

なぜ香港はリスクを背負ってまで「竹」を使うのか

最新のハイテクビルが立ち並ぶ香港で、なぜ依然として可燃性の「竹」が使われているのか。今回の事故を受け、その安全性に対する議論が再燃していますが、これまでは**「香港の地理的・経済的合理性」**から竹が選ばれ続けてきました。

1. 複雑な地形と「スパイダーマン」の技術

香港の建物は地形に合わせて複雑な形状をしており、規格が決まった鉄製の足場では対応しきれないケースが多々あります。現場で長さをカットし、熱で曲げ、建物を包み込むように組める「竹」は、圧倒的な柔軟性を持っています。これを組み上げる職人は「スパイダーマン(搭棚師傅)」と呼ばれ、香港建設業界の要となってきました。

2. 台風への強さとコスト

意外なことに、竹の足場は「しなる」性質があるため、硬い鉄の足場よりも強風を受け流しやすく、台風が多い香港に適しているとされてきました。また、コストも鉄製に比べて格段に安く、リサイクルも容易であることから、経済効率を重視する香港社会で重宝されてきたのです。

「安さと柔軟性」の代償と今後の課題

しかし、今回の「宏福苑」の火災は、そのメリットが裏目に出た形と言えます。

  • 乾燥した竹と強風: 乾燥した竹は燃えやすく、高層階の強風に煽られることで、火の回りが早くなる「煙突効果」を生み出した可能性があります。
  • ナイロンバンドの盲点: 竹そのものだけでなく、竹を結束するために大量に使われるナイロン製のバンドが溶けて燃え上がり、延焼を加速させたリスクも考えられます。

香港政府のガイドラインでは、ナイロンバンドの使用や竹の品質について厳格な規定がありますが、今回のような密集地での大規模延焼を防ぐには至りませんでした。今後は防火シートの基準見直しや、スプリンクラー設置の義務化など、抜本的な安全対策の見直しが迫られることになるでしょう。


【参考文献・公的データ】

この記事の技術的解説は、以下の香港政府発行の公式ガイドラインおよび報道に基づいています。

1. 竹の足場の安全基準と実務規定

  • Code of Practice for Bamboo Scaffolding Safety (PDF)

2. 構造設計と施工に関するガイドライン

3. ニュースソース

  • 共同通信社 配信速報(2025年11月26日)
  • 現地メディア報道(RTHK, SCMP等に準拠)

この記事を書いた人: NEWS FOREST 編集部

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